かないくん
「谷川俊太郎が、一夜で綴り、松本大洋が、二年かけて描いた。」
っていう絵本、『かないくん』。
本屋さんで探しまくったけど置いてなくて、
ほぼ日ストアさんに注文して、先日ようやく手にすることができました。
帯にも書いてあるように、内容は、誰しもが抱えるテーマ、
「死ぬとどうなるの。」ってことについて。
内容については触れないけれど、僕がこの本ですごく感激したのが、
作り手さんたちがこの作品に込めた愛情。
この絵本を世に放そうと企画・監修を手がけた糸井重里さんをはじめ、
装丁から印刷、製本までに関わったスタッフさんらの心意気たるや。
すみずみまで「行き届いてる感」があって、込められたもんは伝わってくるわけで。
一番印象的だったのは、大洋さんの描く「白」が見事に再現されてたこと。
印刷時に特色として白が使われてて、それはもう紙色の白とはまったくの別物。
大洋さんは塗り色としての白をほんとに上手に使われる方で、
それはたぶんたくさんの絵描きに影響を与えてると思ってます。
現在連載中の『Sunny』第3巻の冒頭に雪のシーンがあって、
白で描かれたその絵を見た時にゾワッとしたんです。
「空気」を描いてるわこの人!って。
『かないくん』の中にも雪のシーンがあって、白のインキを使って刷られたそれは、
息を呑むほどきれいなー。と思います。ぼくは。
で、その技を最大限再現しよう、読み手に伝えよう、ってことで、
白をダブルトーンで2版追加してるそうです。
見たことないような印刷です。なので見れば明らかです。
また、鉛筆の色を表現するために、スミ(黒)のインキも
銀色が混ざった特色を使用してるそうです。
作家への愛情、作り手としての情熱、読み手へのさりげない配慮。
ひとつの仕事として、すごく美しいものを見せていただいたなぁという思いです。
本ができるまでの過程あれこれ、谷川さんと大洋さんの対談などなど、
かなりのボリュームで特設サイトに掲載されてました。
http://www.1101.com/books/kanaikun/
こちらは印刷について。
http://biz.toppan.co.jp/gainfo/pr/24_kanaikun/p1.html
ほぼ日ストアさんの細やかな気配りにも驚いたな。
宅配用封筒の開封口がさ、ちぎったり切ったりすることなく、スーッとはがれるわけ。
商品が届いて開封する瞬間のワクワク感を、さまたげない気配り。
「読者の手に渡るまでがお仕事です」っていうような。こまやか!
なんだか背筋が伸びました。
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